映画から見つける、考える。3

okuribito

おくりびと (2008)

いかにも!とお思いでしょうか。。
第81回アカデミー賞 外国語映画賞 受賞、第32回日本アカデミー賞 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞ほか10冠達成、モントリオール世界映画祭・グランプリ受賞など、日本映画初の快挙を成し遂げました、あの映画です。

初めてこの映画のタイトルを耳にした時、(美しいな…)と思いました。響きが。
日本語というものは漢字を使用したり平仮名だけを使用したり、目で見た時の印象も表現次第で変化しますし、音も組み合わせの妙とでもいいましょうか、なんとも美しく興味をそそりますね。英語のように万国共通で使われる言語も素晴らしいものですが、年齢を重ねるごとに日本語を自由に扱える喜びを感じるようになりました。

さて、映画『おくりびと』についてですが、なぜ今回こちらの作品を取り上げたかと申しますと、先日、叔父の葬儀に参列した際、納棺師の方々のお仕事を実際に見させていただけたからです。葬儀準備なども少し手伝える時間がありまして、そんな中「納棺式(納棺の儀)は映画おくりびとの影響が大きい。」という声を耳にしました。このようなことは一般的にもよく言われていますし、すでにご存知の方も多いかと思います。

今回、叔父の葬儀に参列して感じたのは、時間の短さでした。納棺を行い、その夜には通夜、翌日には葬儀・火葬。何十年も共に過ごしてきた人たちでさえ、たった数日の間に故人とお別れをしなくてはなりません。とても苦しい気持ちになりました。故人とのお別れをゆっくり行いたいはずの喪主である叔母は、準備や相談で葬儀社の方に常に呼ばれ、一人になれる間もなく悲しむ暇もなく、おそらくもっともっと短い時間に感じていただろうと思います。
ところが、「納棺の儀」が始まると、全員が故人と向き合い、とても静かで落ち着いた時間が流れました。

「納棺の儀」は、死出の旅立ちを迎えた故人の身支度を整えるための儀式です。本来は、故人の身体を清める湯灌ゆかんから遺族の手で行っていましたが、最近では葬儀社や映画に登場したような納棺師と呼ばれる納棺専門の業者さんが行うようになりました。
湯灌後、死装束を着せ、死化粧を施してもらい、遺族全員で故人を囲み、その死と向き合います。
何年、何十年と動き続けてきた肉体と、何層にも重なり様々な想いで形づくられた精神・魂が、その一生を終えます。自分たちの手で故人の身体に触れ、その感触を受け取り「お疲れ様でした。ありがとう。」という気持ちを伝えられる最後の瞬間となります。(厳密には火葬まで可能ですが)
映画の中でもそのあたり、とても丁寧に描かれていましたが、昔は納棺の儀のすべてを遺族の手で行っていたという意味が、よくわかります。

最近では、生前愛用していた服や専用のドレスなどのフォーネラルコスチュームを死装束の代わりとしたり、死化粧もできるだけ生前の安らかな表情に近づけエンゼルメイクと呼ばれるなど、新たな葬送文化も生まれています。
直葬など簡易的に済ます方法もありますが、結果的に「丁寧に送れなかった」という後悔の気持ちがトラウマとなってしまう事もあるようです。故人を手厚く弔い、より生前の面影を残したまま、きれいな姿で見送りたいという遺族の気持ちの高まりが、今後も葬送文化に良い影響となって表れると良いなぁと思います。

映画「おくりびと」の感想については、Amazonのカスタマーレビューをご覧ください。良いレビューがたくさん載っています♪

また当サイトでは、仏式の納棺から納めの式までの準備とその流れもまとめておりますので、こちらも是非ご一読くださいね。

それでは、また。

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