映画から見つける、考える。5

きみに読む物語 (2004)

恋愛部門ランキングには、ほぼランクインしている大人気の恋愛映画『きみに読む物語』。お金持ちのお嬢様と平凡な家庭に育った青年の身分違いの恋愛という、一見ありふれたラブストーリーなのですが、美しく昇華していく一途な愛と、その愛を映し出したかのような尋常でない映像美がいつまでも心と記憶に残る作品です。

物語は、とある療養施設に入所している認知症の老女に、老父がノートに書かれたある物語を読み聞かせるところから始まります。認知症で自分のことすらわからない、すべて忘れてしまっているその老女は老父の妻。その妻への愛と奇跡を信じて自分たちの物語を語り続ける老父。
所々の会話から察することができますが、老父が妻へ物語を読むのは初めてではないんですよね。何度も妻にこの物語を話している。認知症の妻は、その度に思い出すがすぐ忘れてしまう。それでも老父は、この苦しいであろう作業を繰り返さずにはいられない。自分たちのこれまでの物語を何度も何度も読んできかせる。

私自身、この作品を観るきっかけは、友人の薦めでした。

「この作品を観て感動しない人と、僕は友達にはなれないと思う。素晴らしく美しい話だ。」

そう薦められて観てみましたが、実のところ最初はまったくダメでした(笑)感動どころか、寝てしまった。映像は確かに美しいけれど、身分違いのよくある恋愛映画じゃないか、と。当時は今から10年程前、まだ若かったからでしょうか…主人公たちの一途さが子供っぽく、身勝手な綺麗事に感じられてしまったのかもしれません。

愛する人がアルツハイマーなど認知症になってしまったら、想像しただけでも絶望に近い悲しみを感じます。二人でしか共有していない記憶や感情があるのにそれらをすべて忘れられてしまう。二人で居ても自分だけに記録され続けていくこれから。一瞬でも良いから、自分を二人を思い出して欲しい。奇跡を願わずにはいられない。
この作品の中で老父が何度も何度も物語を読んできかせる気持ち、取り戻したいという気持ち、寄り添いたいという気持ちが今なら少しわかる気がしました。

認知症というと症状としては「もの忘れ」がよく知られていますが、その原因としては加齢によるものではなく、病気やケガによって脳の機能に障害が起こってしまうことによります。中でも65歳以上の認知症患者の85%を占めると言われているのが、「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」の三大認知症。
特に「アルツハイマー型認知症」は記憶力・判断力の低下が起こりやすく、患者さんご本人の感情も乏しくなっていくため、介護をする側のご家族の方も不安やご苦労が多いと耳にします。
作品は恋愛映画ですので美しいシーンが残るばかりですが、実際に家族が認知症になった時のことを想像すると、「生活と介護」への不安がまず押し寄せます。エンディングも映画らしい美しい最後でしたが、「介護」は最後に「死」でその終わりを迎えると言われています。最後まで支えてきたご家族も、大きな苦痛を受ける方から穏やかに最後を受け止める方まで、様々だそうです。

 

“What do you want?”

作品では、このフレーズが何度か登場します。
今やり残したことさえなければ、のちのち悔いることも減るはず…
様々な助言を貰ったり、雑音に悩まされることもある人生ですが、ただひたすらに真っ直ぐに手を差し伸べ合う主人公たちの姿は、恋愛以外にも行き先を見失った時や立ち止まってしまった時、私たちの心を奮い立たせてくれる気がします。

映画「きみに読む物語」の感想については、Amazonのカスタマーレビューをご覧ください。良いレビューがたくさん載っています♪

それでは、また。

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