「医療ツーリズム」とはなにか?

前回の記事(「増え続ける墓」)で、日本が「墓」の先進国であることは述べました。
それと同時に、もっと一般的なこととして、日本は「医療」の先進国として広く知られています。

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医療滞在ビザ

そんな医療大国である日本が、2011年に認可した在留資格が医療滞在ビザです。
目的は、こうした分野で先行する諸外国に、高い医療技術を武器に追いつくことでした。
都市部では、ここ数年、訪日外国人の旅行者数が増えていることが目に見えていましたが、このビザにより、それと同時に医療目的で訪日している方も増え続けていました。

さて、このことはわれわれにどのような影響を及ぼすのでしょうか?

日本の医療は産業なのか

端的に述べれば、このことがもたらした議題は「日本の医療は産業なのか」。
つまり、国民皆保険であるこの国の医療制度と、対外向けの産業であることを両立させようとすることで、現場では「医療」というものの捉え方に軋轢が生じたのです。

中国の経済発展

医療滞在ビザによって訪日する外国人は、時を同じくして世界トップレベルの経済大国になりつつあった中国のひとが大半です。実際、そのことが「産業」として魅力的であったことから、地方創生を目的とした誘致も行われました。

受け入れの限界

その結果、保育園、幼稚園、介護施設、墓、それらと同じように、「医療ツーリズム」で訪れる外国人の数は、日本の医療機関のキャパシティを超えてしまっているのが現状です。
また、それと同時に、自国の超高齢化にともなうニーズにも応えるのは、いよいよ難しいと言えるでしょう。

大きな課題

このことは、「終活」に取り組む世代のひとびとにとっては、現在進行形の大きな問題です。また、切り捨てることができないものばかりが天秤に乗ってしまっているいま、ひとつひとつの決断が今後を大きく左右するでしょう。
以前に取り扱った、「ターミナルケア」の問題(「異文化から学ぶ「終活」②」)とも密接です。

「どこで、どのように死ぬか」。
「医療」は、いまや「死に方」をどこまで決められるかの鍵です。

「終活」を考えるうえで、「医療ツーリズム」の進退は注視すべき大きな問題と言えるでしょう。