「客死」の問題

「客死」という言葉をご存知でしょうか。
「かくし」あるいは「きゃくし」と読みますが、旅先など、特に外国で亡くなった場合に用いられる言葉です。

その多くは事故や災害などが原因となるため、そちらによる犠牲であることが強調され、「場所」に重点を置いたこの言葉はさほど日常的ではないかもしれません。

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客死の問題

古くは、「客死」は大きな問題でした。
前回の記事(「最新式の埋葬法」をどう見るか)でも触れましたが、エンバーミングと呼ばれる遺体を長期保存する技術が未発達であったことや、輸送手段の限定などから、遺体を祖国に連れ帰ることは困難でした。

現在では、そのどちらの問題も解決されているため、遺体を連れ帰ることはさほどの困難ではありません。

連れ帰るための費用

しかし、だからこそ生じる問題として、エンバーミング、および輸送のための多額の費用の支払いが挙げられます。
遺族からすれば、可能なのであれば、郷里に戻してから埋葬したいと思うことでしょう。
客死する場所によって金額はずいぶん異なりますし、旅行保険なども一部適用されます。とはいえ、多額の金銭が必要になることに変わりはありません。
事前にそのことを予測し準備しておくというのは縁起でもないことのように感じられ、備えは敬遠されがちではないでしょうか。

また、日本は以前に触れた(「医療ツーリズム」とはなにか?)「医療ツーリズム」において、目的地であることがほとんどなためあまり意識しないことかもしれませんが、自身が旅先へと医療を求める立場となれば、備えておいて当然の問題と言えるでしょう。

客死のための遺言

あまり旅行などを好まない方であれば、なかなか客死のための遺言を残す気にはならないでしょう。
しかし、客死は特殊なケースだからこそ、いざその時に判断をするのは難しい。だからこそ、「終活」を「備え」の側面から考えた場合、こうした特殊な場合に対する遺言こそ必要なのかもしれません。

もちろん、そのすべてをフォローできるような遺言は残せないでしょう。
ただ、もしもの場合はその土地で火葬、埋葬をしてもらって良い、もしくは、火葬のみ行い遺骨は持ち帰って欲しい、など、費用面に大きく関わる部分に対する遺志を残しておくことは、しておいたほうが良いでしょう。

「終活」を行っているひとのほとんどは、まだまだ年齢的に仕事や旅行で海外に行くことも珍しくないでしょう。
ふと、旅先でなにかあったら……、という思いがよぎったとき、縁起でもない、と思わず、簡単な意思表示をしておくことも、現実的な「終活」です。