雷に七度打たれた男 – 前編

「終活」から話題は逸れますが、「死」、反転して「生」について考える時、筆者には頭をよぎる人物が何人かいます。

そのひとりがロイ・サリヴァンというアメリカ人男性。

彼はアメリカのバージニア州にある広大な国立公園で公園監視員という職に就いていました。
通称「パークレンジャー」と呼ばれるその職業は、職務が専門的かつ多岐にわたることから一種のエリートですが、いちパークレンジャーの訃報は「ニューヨーク・タイムズ」には掲載されません。

ところが彼の訃報は「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されました。
その理由は、ロイ・サリヴァンがこの記事のタイトルにあるとおり「雷に七度打たれた男」であるからです。

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人間避雷針

ロイ・サリヴァンは雷に七度打たれ「人間避雷針」というあだ名を付けられた人物です。

一般的に、一生において雷に打たれる確率というのは数百万分の一から数千万分の一といわれ、万が一落雷を受けた場合、その半数以上の人は亡くなっています。
ロイ・サリヴァンは国立公園の公園監視員であったことから、一般のひとよりも落雷に遭う可能性は高かったと考えられますが、七度打たれ、なおかつ存命であったというのは、もはや確率で考えることが無意味に思えるような異常な事態です。

もちろん、彼以上に雷に打たれた人間はおらず、彼の監視員帽子はギネス世界展示ホールに展示されています。

七度の落雷

彼は1942年から1977までの35年間にわたり、七度の落雷の被害に遭いました。
監視塔で、山道で、自宅の庭で、公園管理所で、パトロール中の車中で、キャンプ場で、釣りの最中に……。

当然、ロイ・サリヴァンはその度に怪我ややけどを追っています。
ですが、七度目の落雷では胸と胃に怪我を負い重症だったにも関わらず、彼は生き続けました。

彼の訃報は、落雷によってもたられたのではありませんでした。


雷に七度打たれた男 – 後編」に続く