生涯をかけた「終活」

「終活」という字面は、どうしても「終わりのとき」が近づいてきた季節に取り組む事柄のように感じさせますが、本質はそうしたものではありません。

今月6日に、あるニュースを目にした筆者は、まさに「生涯をかけた終活」と呼べる取り組みを行った女性に深い感銘を受けました。

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約9億円の寄付

67年もの間、ニューヨーク州の法律事務所で弁護士の秘書職に就き、96歳で亡くなったシルビア・ブルームさんは、その死後に820万ドル(約9億円)もの大金を奨学金にあてて欲しいと寄付したそうです。

東ヨーロッパの移民として生まれた彼女は、夜間で大学の学位を取ったのちにウォール街の法律事務所に就職します。
その後、67年間にわたり働き続けた彼女は、その間ずっと質素な生活を続けていたのだといいます。

とはいえ、いくら67年もの間、倹約の生活を続けたとしても、約9億円を貯蓄するのは難しく思えます。
どのようにしてそうした貯蓄をなしたのか、その真相はわかりませんが、シルビア・ブルームさんが法律実務だけでなく、弁護士の周辺雑務もになっていたことなどから、秘書をつとめていた弁護士が株などを売買する際に、自身のふところからも便乗していたのでは? というのがシルビア・ブルームさんの姪で会計士のジェーン・ロックシンさんの弁。

それにしても、それだけの大金を持ちながら質素な生活を変えず、90歳を超えてもなお働き続けていたということには驚きを隠せません。
移民として生まれ、苦学の後に法律事務所に就職の叶った彼女は、その時からずっと、自分のような境遇を持ちながらも、教育を受けたいひとたちのことを想っていたのでしょう。

冒頭で「生涯をかけた終活」と表現しましたが、それはイコール彼女にとっての充実した生だったのでしょう。

その強い意志、継続の力はとても真似できそうにありませんが、自分自身の夢のために長い年月を賭すことが、「終活」としての側面を持つ稀有なニュースだったため、ご紹介いたしました。

ちなみに、非常に多額の金額のため、うまく寄付されるのか不安になってしまいますが、そのあたりは姪で会計士のジェーン・ロックシンさんに委ねられ、無事に奨学金として給付されることが決まったそうです。

こうした信頼のおける親族がいることもまた、シルビア・ブルームさんの人徳を感じさせます。