「大口病院事件」から考える「終末期医療」の問題

「終活マガジン」では、「終末期医療」の問題を何度も取り扱ってきました。

主要なテーマとして扱った記事には以下のものがあります。

さて、今月、2016年に発覚していた通称「大口病院事件」の容疑者が逮捕されました。
今回は、この事件から「終末期医療」の問題を再確認してみたいと思います。

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大口病院事件

いまだ調査中であり、発生から2年近く経過しての容疑者逮捕であることから、真相の解明にはまだまだ時間を要しそうです。
ですので、ここでは、現在わかっている事件の概要を述べるにとどめたいと思います。

2016年9月、横浜市神奈川区の大口病院で入院患者二人の不審死が相次ぐ事件が起こりました。
その手口は、点滴に消毒液を多量に混入させるというもの。
このことから病院関係者の犯行が疑われましたが、今回の事件発生場所である大口病院の場合、本来、関係者以外出入りできないナースステーションに鍵がなかったことや、病棟に防犯カメラがなかったこと、また、被害者の近くにいる方々も寝たきりの患者ばかりであったことなどから、容疑者の特定は難航しました。

しかし、今月、当時の看護師が逮捕されました。そして、事件の全容解明が急がれています。

多くの問題

容疑者の凶行への憤りと同時に、筆者はこの事件から、この国が「終末期医療」の問題にほとんど手を打てていないという現状を痛感しました。

上に紹介した過去の記事でも取り上げていますが、「終末期医療」そのものの議論、そしてその医療従事者の不足、2025年問題に代表される超高齢化社会、尊厳死……、もちろん、このような凶行に及んだ容疑者がいなければ事件は起こりませんし、そのことを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、とはいえ、この国が抱える問題として備えるべきこと、考えるべきことへの対応が圧倒的に不足しているのを感じます。

また、こうした事件が「終末期医療」のイメージの悪化を招いてしまうことも懸念されます。
そこに従事するひとたちの環境の改善や心理的ケアなどについても考える必要があるでしょう。

ある病院で、ある犯罪者が犯した事件——そう消化してしまってはならない事件だと筆者は考えます。
社会全体で根本的な部分から見直していかなければ、「終活」もままならない。
言い方は悪いですが、そのような大きな問題が顕在化してしまった事件だと筆者は感じています……。