遺影が気になるひと

「終活マガジン」では、過去二度にわたって「遺影」について考えてきました。

遺影について
続・遺影について

遺影の役割、歴史、あるいは遺影以前——。

筆者はそうしたことを知るうちに、「いま」あるべき遺影の姿に関心を抱くようになりました。

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90歳のインスタグラマー

そんな折、スマホの写真共有アプリ「インスタグラム」に自撮り写真を投稿している90歳の女性の存在を知りました。
彼女の名前は西本喜美子さん。
インスタグラムを利用されている方は、ぜひ彼女のアカウントをご覧ください。

西本喜美子さん(@kimiko_nishimoto) • Instagram写真と動画

インスタグラムはスマホを利用してしか写真を共有できないため、まず齢90にしてスマホを使いこなしていることに驚いてしまうのですが、さらに驚いたのは、そのコミカルな自撮り写真に施された画像加工までもを自身で手がけているということです。

時にはシルバーカーや自転車にまたがり、疾走感あふれる演出を画像加工に施す西本さん。
どのような発想からこのような自撮りが生まれるのでしょうか。

また、特に話題となったのが、自身がゴミ袋に入り燃やすゴミとして捨てられているという衝撃的な自撮り写真。

姥捨(うばすて)については、「残酷さがもたらす静謐 – 『楢山節考』」について触れましたが、古くから連綿と続く老境の感覚を現代的に表現した秀作です。

自撮り – 自分を見る

さて、先ほど西本さんが自身の写真に疾走感あふれる加工を施すのはどのような発想からなのか……? そのように述べました。

実は西本さん、若い頃は競輪選手だったそうなのです。
いまでは杖が無いとあまり歩くことができないとのことで、筆者はそのコミカルな写真の背景に、もどかしさや歯痒さが隠れているのではないかと勘繰ってしまいました。

ですが、仮に筆者の勘繰りがまったくの的外れでなかったとしても、そうした想いを「自撮り」という方法でコミカルに表現するバイタリティには感服してしまいます。

そんな西本さんですから、その遺影はどのようなものになるのだろう? と筆者は不謹慎極まりない興味を隠せません……。
それはやはり「自撮り」なのでしょうか。あるいは、生きている自分に精一杯で遺影のことなど考えていないのかもしれませんが……。

「捨てる」だけではなく「発信する」

「終活」といえば、物を処分したりと「捨てる」方向への意識が働きがちです。
実際、そうした「作業」が必要な営みです。

ですが、平均寿命を超えた年齢である西本さんのバイタリティ溢れる「発信」を見ていると、「老い」を感じさらにそれを「楽しむ」ことこそが「終活」なのではないかと筆者は教えられました。