2018総集編 ④書籍 – 後編

前回に引き続き、今年の記事で扱った書籍をあらためてご紹介いたします。

9b59858edda2d9564ed2ffbe13c0a9f8_s

息子への手紙

『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』幡野広志

写真家であり狩猟家でもある幡野広志さんの著書。
35歳の父である彼は、多発性骨髄腫の発症により3年の余命宣告を受けました。そんな彼がまだ幼い子どもに残せるものは何だろうかと考えた軌跡であると同時に残そうとした「言葉」。それが本書です。写真という瞬間を切り取る芸術、そして狩猟。常に強く死を意識してきた著者の「終活」。そのひとつがまさに本書なのです。

大学で教える「死」

death

『「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義』シェリー・ケーガン(著)、柴田裕之(翻訳)

本書は、「肉体の死/精神の死」というシリーズ記事の最後にご紹介しました。
「終活マガジン」では、特定の宗教観に偏らないよう気を配りつつ、さらになるべく断定的な物言いは避けてきました。それは、「終活マガジン」の目的が、あくまでもそれぞれの「終活」をそれぞれで見つけ出してもらうことにあるからです。
ですが、そうした考えがもたらす弊害として、記事中に曖昧模糊な表現が多く見られてしまいました。
肉体の死/精神の死」というシリーズ記事は内容が難しく、特にそうした傾向が強くなっています。
字数の限られた記事では限界もありました。ずるい方法ではありますが、より仔細な説明を引き継いでもらおう……、そんな意図でご紹介したのが本書です。
学生向けの講義をもとに書かれたため、やや冗長なきらいはありますが、「死」という難題をわかりやすく、かつ明朗に語った良書です。

漫画

funeral-march

『葬送行進曲』ウチヤマユージ

今年最後にご紹介したのはウチヤマユージによる漫画作品です。
「庚申待(こうしんまち)」という古くからある民間信仰を効果的に扱いつつ、現代的「死」の問題と正面から向き合った秀作です。

まとめ

本稿でご紹介したものは、どれも今年刊行されたものです。

「終活」、ひいては「死」というテーマが社会的に共有され、そこに向けた著作が増えつつあるのを強く感じます。
当然、玉石混交は今後より複雑となっていくことが予想されますが、「終活マガジン」では、今回ご紹介した書籍同様、真摯に「死」と向かい合ったものだけを今後もご紹介していきたいと考えています。