死神の姿と死生観

〜死は気まぐれにやってくる⑤前編

※このシリーズは物語の核心部分に触れていることがあります。作品を未読・未見の方はご注意ください。

長い間、人間のカタチで表されてきた死神ですが、ここ最近は少しばかり事情が違っているようでーー。
壮麗な絵の世界、圧倒的な迫力を持った世界観、何より先が読めなさすぎる展開が爆発的人気を読んだ少年漫画の異色作『DEATH NOTE』。勧善懲悪的なわかりやすい世界観は微塵もなく、死神に代わって人間が人間を次々に殺していくストーリーは、およそ少年漫画らしからぬ壮絶な結末へ繋がっていきます。アニメ化・実写映画化も話題を呼び、多くの人に衝撃を与えました。
主人公は受験を控えた高校3年生、夜神月(やがみライト)。眉目秀麗・文武両道というまさに絵に描いたような美少年ですが、頭が良すぎるのがライトの欠点。取り立てて勉強をしなくても国内トップの学府をクリアできる自信があり、毎日が退屈で退屈で仕方がなかったのです。そんな時、空から一冊のノートが落ちてきます。教室の窓からそれを眺めていたライトは、下校時に校庭でそのノートを拾います。真っ黒な表紙の大学ノートでしたが、表紙に描かれていた単語は「DEATH NOTE」。中には「使い方」まで書かれており(すべて英文)、ライトはよくできたおもちゃだろうと家に持ち帰りますがその数日後、学校から帰宅したライトを待っていたのは、ノートの持ち主の死神でした。
死神の名前はリューク。この作品にはリュークをはじめ様々な死神が登場しますが、ほとんどの死神は人間に近いシルエットをしています。とは言ってもリュークの場合、ギョロ目に隈取りのごとき化粧、鮫のような歯並びに人間の1.5倍はありそうな身長と手足、カラスの羽飾りと天に羽ばたくための大きな翼という異形の生き物そのものと言った強烈なインパクトのヴィジュアルです。
派手な外見をしているとは言え、リュークの死神としての姿はこれまで見てきたなかではなかなか正統派な部類だと言えます。ですが、ここには決定的な違いがあります。リュークは死神であるにも関わらず、アトリビュートの大鎌も砂時計も持っておらず、実際人の命を刈り取るのに鎌を振り回すような大仰な真似はしません。この作品に登場する死神の仕事の仕方は実にシンプル。そのノートに、殺す相手の名前を書くこと。そしてほとんどの場合、それをこなすのはノートを拾った人間であることーー。

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主人公・夜神月と死神リューク
『DEATH NOTE』単行本第1巻画像・Amazon商品ページより